

最近は、最高気温が10度を超える日も増えてきて、
少しずつ春の気配を感じるようになりました。
なので今回は、富山で過ごした初めての冬、
雪の日のことを振り返ってみようと思います。
これまで太平洋側にしか住んだことがなかった私にとって、
雪国の冬は未知の世界でした。
どれくらい雪が降るのか。
外に出られなくなるんじゃないか。
生活は普通にできるのか。
いろいろ想像して、正直かなりビビっていました。
実際、今年の富山市では、2月の初めに一晩で膝下くらいまで雪が積もった日があり、私にとっては、その日がこの冬いちばんの積雪でした。
初めて見るくらいの雪景色に
「わーきれい」とワクワクする気持ちもありつつ
「明日、仕事どうやって行こう…」と現実的な不安も押し寄せてきました。
でも実際に暮らしてみてまず驚いたのは、除雪の仕組みのすごさです。
夜に雪が降っても、私の近所では翌朝には車道は走れる状態になっていました。
歩道は正直かなり歩きづらいのですが、それでも夜のうちに除雪してくれている人がいたり、なんとか歩ける場所を探しながら進むことができます。
東京だと雪が降ると大きなニュースになるけど、
富山では雪が降っても暮らしは普通に続いていきます。
雪国の人は本当にタフだな、と思いました。
そんな雪の日の出来事で、とくに印象に残っているのが——
「10年に一度の寒波」と言われた1月末。
始発の新幹線で東京出張に行かなければならない日があったのです。
どうやって富山駅まで行くか。
富山市郊外に住んでいる私の移動手段は、車、バス、電車の3つ。
でも外は吹雪いていて、雪道の運転に慣れていない私は車をすぐに諦めました。
バスも最寄り駅の電車も、始発の新幹線には間に合いません。
どうしようかとGoogleマップを見ていると、
徒歩30分ほどの場所に路面電車の駅があることに気づきました。
もうこれしかありません。
吹雪を考えて、40分を見込んで家を出ました。
歩道に積もった雪に足を取られながら、ひたすら前へ進みます。
ふと街灯を見ると、明かりの中を雪が横殴りに流れていました。
普段、この道を普通に歩けることが、どれだけありがたいことか…
雪の日には身に沁みて感じます。
しばらくして大通りに出ると、道路から水が出て雪を溶かす融雪装置のおかげで、
急に歩きやすくなりました。
車道も同じ仕組みで雪が溶けていて、思っていたよりもスムーズに進めます。
この融雪が、本当にすごいんです。
私が住んでいるマンションの駐車場にも融雪設備があり、
今年の冬は雪かきをしないで済みました。
冬は雪かきのために30分早起きしないといけない、と聞いていたのですが、
車の上の雪を落とすくらいで、普段とほとんど変わらない生活ができました。
雪国の暮らしは、こうしたその土地ならではの工夫の積み重ねによって支えられているのだと感じました。
好きな音楽を聴きながら歩いていると、気づけば路面電車の駅に到着。
東京で普段からよく歩いていたおかげか、30〜40分の道のりは思ったほど遠く感じませんでした。
そして何よりありがたかったのは、雪の日でも電車が時間通りに来ること。
車が使えなくても、公共交通で移動できる。
そんな当たり前のことに、雪の日にはとくにありがたさを感じました。
こうして振り返ると、今年しっかり雪が降ったのは1ヶ月ほど。
降っている間は「大変だな」「今日は無事にたどり着けるかな」と思うことも多かったのに、雪のシーズンが終わると少し寂しい気持ちもあります。
降っている間は大変なのに、なくなると名残惜しい。
それが自分でも意外でした。
季節によって、街の景色も暮らし方も少しずつ変わっていく。
はっきりとした四季がある暮らしの面白さを、
この冬に少し知った気がしています。
それも、富山の魅力のひとつだと思います。
この記事を書いた人
記事一覧
熊野 由香里
1985年大阪生まれ。東京で放送作家として14年間テレビ番組などの企画・構成を手がけ、その後、映像制作会社で動画コンテンツ制作に携わる。現在はフリーランスとして活動しながら、富山県地域おこし協力隊として県内で働く協力隊の活動を取材し、YouTubeやInstagramで発信している。